近年、お年寄りの肺炎の中で、口腔内のばい菌などが誤って気管に入りこみ、肺の炎症を引き起こす誤嚥性肺炎が問題視されるようになってきました。
高齢者の肺炎の半数以上がこのタイプと言われ、物を飲み込む際、のどの反射(嚥下反射)が鈍くなったために起こりやすくなっているそうです。健康な若い人の場合、異物が気管に入ったりすると、激しく咳込んで、その異物を気管の外に出してしまいます。しかし、高齢者や脳梗塞などにより嚥下反射が低下している人は、異物を出すことが出来ず、気管から気管支に異物が入り、肺炎を引き起こします。この異物は、食べ物や胃液、そして唾液に含まれる雑菌で、特に口腔内のばい菌が問題だと考えられています。ですから、誤嚥性肺炎の予防は、まず口の中を清潔にすることだそうです。
「毎食後と就寝前には必ず歯磨きをする。その際には歯だけでなく、細菌が存在する舌の表面もブラシする。 さらに食間に何度か薬剤によるうがいをする。こうして口腔内雑菌を減らせば、誤嚥しても肺炎になる危険性が減る。」と言われています。私どもは、歯ぐきや唇の裏側など口腔内全部を清潔にするべきだと思っています。
嚥下反射の低下を防いだりする物質も研究されているようですが、まずは、口腔内を清潔にすることが肝要のように思います。又、口腔内が清潔ですと、口臭がなくなり、少しでも気持ちよく介護してあげられるのではないでしょうか。
その他、誤嚥性肺炎の予防には、「食事は固形物よりも汁物のほうがむせやすいので、スープなどにはとろみをつける。食事を介護する場合には、お年寄りがきちんと飲みこむのを確認してから、次の一口を口に運ぶようにする。また、胃からの逆流を防ぐため、食後2時間程度は座った姿勢を保つ。」などが必要だそうです。
実際の介護治療の現場では、口腔ケアは歯科の領域と考えられ、医師や看護師の方が口腔清掃に対し、積極的にケアされていないという現状も伺えるのが残念です。医療の原点を考え、人の為の医療を心掛けていただければと思います。